熊本地震(2016.4.14)直後の益城町での調査より

熊本地震、その他災害、コロナ禍で亡くられた方々のご冥福をお祈りします。

熊本地震で被災した家屋

5年前、私は熊本地震で甚大な被害を被った益城町に調査に入りました。ほとんどの建物に大きな被害が及んでおり、古い瓦葺きの家はほとんどが崩壊していました。比較的新しい木造住宅も傾いていて住める状態ではありませんでした。RC造の建物は他より被害が小さくて、避難所になっていました。東日本大震災でもRC造の建物は、津波の中潰されにくかったように映像から見てとれました。RC造は、大きな災害から命を守ってくれる可能性が高いです。ただ建てるのには他の構造より費用がかかるので、一般的な木造建築で災害に強く地震の最初の大きな揺れに耐えて潰れないことを目指すことが重要だと感じました。

そこで、構造についてまとめてみました。建物を頑丈にするには、構造材の強さを高める必要があります。構造材の強さは建物の強度を左右する重要な部分です。完成してからでは見ることができません。目立たないですが、建物を頑丈にしてくれる構造金物について触れてみたいと思います。金物は接合部に使い各部材を強く支えます。木造住宅でよく使用する金物を紹介します。

耐震金物(ホールダウン金物)

1、土台金物 スクリューワッシャー 基礎に埋め込まれたアンカーボルトと土台の結合に使用します。ナットが緩みにくく基礎から土台が浮き上がるのを防止します。
2、L型接合金物 床、構造材と柱を接合するもので柱の柱脚、柱頭に設置し柱が横架材からぬけるのを防ぎます。
3 、ホールダウン金物 基礎と柱の緊結、横架材と柱の緊結、柱上下階の緊結に使用します。引き抜きの力が掛かる部分に設置、柱が横架材からぬけるのを防止します。
4 、筋かいプレート 筋かいと柱の接合に使用します。地震や台風時に建物が動いた時、筋かいが柱から離れるのを防止します。
5 、短冊金物 横架材の継ぎ目に使用します。横架材の継ぎ目部分にプレートを設置し、横架材と横架材を接合し、脱落を防止します。
6 、羽子板ボルト 梁と梁、梁と柱の接合に使用します。梁を片側からボルトで固定し、仕口、継ぎ目の脱落を防ぎます。
7 、垂木固定金物 垂木と軒桁、母屋、棟木の接合に使用します。ビス一本で垂木施工が可能なので、施工時間の短縮、ビス先端に加工があるため、木割れ防止とスムーズな作業が可能です。
8 、通し柱 木造軸組の継ぎ手仕口部分を金具に置き換え、ボルト、ドリフトピンで緊結する金物工法が主流です。

これらの構造金物が設計図通り使われているか確認することが大切です。クリフハウスでは、家の施工途中の管理をしっかりと行います。大切な人の命を守るために施工業者と協力してよい家づくりを進めていきます。どうか我々に安心してお任せください。


1級建築施工管理技士 加藤翔